キミノカケラワタシノカケラ

少しずつ。前に進まなければならないのか?

12歳の誕生日おめでとう。

今日娘は12歳になった。

 

という事は私も娘の母12歳と言うことか。

 

 

 

背が伸びた。

145センチになったし、体重は…

多分標準より細いけれど。

 

 

冬に娘は背中まであった髪をバッサリと

ショートに切った。

5年生のクラスはあまり好きじゃなかった。

と、今はいう。

 

 

あまり賑やかにするタイプではない。

人の悪口も言わない。←ようにしている。

静かに本を読む方が好きで。

あまり外に出て遊びまわる方じゃない。

 

 

五年生の時に大好きな友達が傷つけられ、

学校に来られなくなった。

その友達を傷つけたのはずっと仲良しの

自分の友達だった。

 

 

このくらいから娘は少し変わった。

 

 

彼女を取り巻く世界はその時点できっと

明るく無垢なものではなくなったはずだ。

自分の好きな人が自分の好きな人に傷つけられる。

 

 

彼女は。

巻き込まれないように一切をバランスを取り。

 

 

どちらかに傾く事なく。

どちらにも平静を続けた。

 

 

悪口には肯定をせずひたすらに話を交わして

その悪口から話を遠ざけ。

 

学校に来て欲しいとか、助けるから。なんて

一言も言わずにただ普通にしていた。

 

 

今は仲直りした友達を見ながら。

 

 

 

 

傷つけた友達に心を許す事はなくなった娘。

 

傷つけられた友達にもフラットに接した娘。

 

 

 

きっとあの時彼女は。

世界の縮図とも言える場所に居たんだと思う。

 

 

 

今も彼女はどちらとも仲良くしている。

私なら逃げ出したに違いない。

でも、彼女は時々ハスに構えたように…

 

まあ、そんな感じだよね。仕方なくね?

どっちも友達なんだよ私には。

と真顔で言って笑わずに事実を述べる。

ああ、そんな処世術を身につけてしまった。

 

 

一切誰の悪口も言わず、誰の見方もしない。

 

 

 

そんな彼女は、長く伸ばした髪を切り捨てた。

 

 

 

 

それから彼女は変わったかもしれない。

 

 

 

 

ドライに割り切る事は増えた。

それと共に。

はっきりと発言するようになり、男子の友達を

増やし、自分の立ち位置を作り始めた。

 

 

小さい時に仲違いをして苦手だった友達は。

6年で一緒のクラスになったのを境に。

笑顔で仲良く出来るようになった。

 

逆に。

 

人の悪いところを見る、いわゆる女子女子した

友人達から距離を置き始めた。

髪を切り捨て、ボーイッシュな見た目になった

のを境に。

 

 

彼女は少し大人になった。

 

 

 

本をいつも読むようになり。

彼女の今年の誕生日プレゼントに強請られたのはブックカバー。

 

何を読んでるのかをいつもみんなに問われる

のが…

煩わしいのだと髪をかきあげる。

 

 

彼女が今気に入っているのは石田リンネさんや

糸森環さんのような、主人公が芯が強く。

ファンタジーで少女が読むには少し骨太なものだ。

どうやら恋愛小説には興味がない。

 

 

少し私に似たな。と、思う。

 

 

ゲームが好きで、勉強も好きで。

運動は嫌いで。

でも、剣道のおかげで強くなった。

諦めないようになった。

負けず嫌いに拍車がかかった。

 

 

冬に体調不良で戻してから。

怖くなって給食が食べられなくなって。

毎日泣きながら学校に行きたくないと言い。

 

でも、必ずいくのだ。泣きながらでも。

 

 

休んでいいといっても。

必ず、いや。行くよ行かなきゃ。

ってスイッチが入るように立ち上がる。

 

 

給食が食べられないからと。

朝ごはんが食べられず。

1日1食の日も沢山あってたし、二月からこっち

実は今でも朝ごはんはほぼ食べられず。

給食も食べられない。

 

 

食べられないと泣かなくなり。

残す選択ができるようになって。

それでもふとした不安に襲われて…

 

今でも毎日、私は大丈夫?と聞く。

 

 

 

私が、大丈夫。と言えばそれで納得する。

 

 

毎日の儀式だ。

 

 

その言葉を与えられるのは私だけ。

 

 

 

 

だから私は毎日紡ぐ。

 

 

大丈夫だよと、それだけを。

 

 

 

笑顔で学校に向かわなくても。

帰りは笑顔で楽しかった!と笑って帰る。

彼女は複雑怪奇だ。

 

 

体調不良で休みたがるくせに。

熱が出て休めば学校に行きたいと学校を恋しがる。

楽しくないのかと聞いたら。

学校は楽しいと答える。

 

ただ、食べられないから辛い。

 

 

それだけを言うだけ。

 

 

先生にもなんども相談し、回復したと思ったら

またすぐに食べられなくなる。

何度も繰り返し、何度も親子で傷つく。

でも娘はいつも私に大丈夫かと問い。

 

私は大丈夫だと応える。

 

 

 

何度も唱える儀式のようだなと思う。

 

 

 

負けず嫌いが彼女を奮い立たせるのか?

とも思うけど。

きっと彼女を支えているのはたくさんの友人達。

 

段々と世界が広がるように。

彼女の友達も色とりどりに鮮やかになる。

 

彼女は確かに自分の目で人を選ぶ。

きっと自分の指針で流されないように小さい身体で。

 

 

娘はなんて、私の思う通りには育たなかったのかとふと思い、笑う。

ああ、なんて鮮やかに私の思い描いていた、

泣き虫な娘よりも強くなっていく。

 

手を出す事はもうできない。

手を差し伸べて私の思う道に誘導も出来ない。

娘は娘で。

私の手は必要な時にしかとらない。

 

きっとその回数も減っていく。

 

 

傷ついてもうまく隠すかもしれない。

もう全部は私に見せないだろう。

でも、私に聞くのだ。

 

 

何に対してから言わなくても。

 

 

 

大丈夫だよね?

 

と。

 

 

だから私は全てに対して答える。

娘が欲しい言葉だけを。

それ以外は私が彼女の芽を積まないように。

 

大丈夫だよーと笑いながら。

 

 

 

何に対してよ?何でもかんでもええわ。

なんか知らんが何でも大丈夫や!

 

 

と、笑う。

 

 

 

 

沢山を隠しながら。

そうやって、どうやってもうまく泳ぎながら。

彼女は過ごしていく。

 

 

ああ、大きくなったなあ。

 

 

 

手を繋いで歩きながら歌を歌ったのを覚えてる?

そう聞いてみたら。

 

 

今でもできるよ、お母さん。

一緒にいつも歩けるよ。

歌も歌おうよ、こころんの散歩行こう!

 

 

そう言われてふと涙が出そうになった。

 

 

 

私が与えるだけじゃなくて。

娘も与えてくれる。

 

同じだけの時間を、親子として過ごしてる。

1日も違える事なく。

 

私の身体から離れた時から。

 

 

私の命をあげた娘。

 

 

 

なんて愛おしいのかと思いながら眺める。

 

 

 

 

彼女の無限の可能性を信じて。

私は彼女の隣を歩く。

お誕生日おめでとうと、頭を撫でた。

 

 

乱れた髪を直しながら。

 

 

オムライス食べたい!

 

 

 

 

と笑う。

 

 

 

 

一緒に歩こう。

ううん、歩けなくてもいい。

あなたは走っても飛んでも構わないよ。

振り返らなくてもいいし、追いついても追い越しても構わない。

 

ただ、泣かないで欲しい。

 

意味のない涙は流さないで欲しい。

 

 

あなたの歩く道をなだらかにならす事はもうしない。しちゃいけない。

つまづいても立ち上がるのを見守るから。

間違わないように真っ直ぐに立って。

 

 

 

笑って歩いていて欲しい。

 

 

 

 

あなたが欲しい言葉は全部あげる。

あなたが聞きたい時に全部あげる。

 

だから、今より強くなって笑って欲しい。

 

 

 

強さを勘違いせず。

優しく強く。

でも私の望みは口にはしない。

 

あなたはその私が望む娘になろうとするだろうから。

 

 

だから。

 

 

あなたの自由のために私はあなたを尊重したい。

 

同じ人として、側にいよう。

あなたが笑うなら私も笑うし泣くなら泣くし。

怒るなら怒る。

 

ぶつかる時も来ると思う。

でもそれを少しは楽しみにしている。

 

 

 

あなたの成長が。

 

 

なんて幸せなんだろうか。

 

 

 

強くなったね。

あなたはこの一年でとても強くなったよ。

泣きながら、心に傷を負いながら。

でも健やかに力をつけた。

 

 

 

泳ぐように過ごして。

生きやすく生きるのも良いものだよ。

あなたが元気ならそれでいい。

 

 

無事に今日も過ぎていく。

幸せだね。

 

 

お誕生日おめでとう。